クロックスは柔らかいクッション性のあるソールが特徴で、その履き心地が評判となり、大流行の後も日本に定着し、類似商品もたくさん出ています。しかし、クロックスも類似商品も履くのはやめましょう。ベランダのサンダルとしてちょっと履くくらいなら問題ありませんが、買い物や散歩など日常で使うことはお勧めしません。
クロックスがダメな3つの理由
①姿勢が悪くなる
②扁平足になる
③ケガしやすくなる
①姿勢が悪くなる
姿勢を調整する感覚としては大きく3つあります。1つ目は体性感覚という支持面(足裏とそれぞれを結んだ面)を基準として身体部位のそれぞれの位置関係の情報を伝える感覚。2つ目は視覚で、目で見た情報で水平などの情報を伝える感覚。特に支持面が不安定な状況で体性感覚の情報を補う時に重要となります。3つ目は前庭感覚でいわゆる三半規管による頭の傾きなどを伝える感覚。
足の裏には姿勢を調整する体性感覚としての受容器(メカノレセプター)が豊富に存在するため、クッション性のある柔らかいソールを使用してしまうと、足裏の感覚受容器に情報が伝わりにくくなってしまいます。その結果、体重が足裏のどこに掛かっているか(重心位置)、水平の位置、地面の傾斜などの情報が脳に伝達しにくくなります。
子供は4歳ごろからバランス維持に対するこれらの視覚、前庭、体性感覚を統合し始めます。クロックスを長い時間履いてしまうと足裏のセンサーが働かず、正しく姿勢を調整することが難しくなります。体性感覚の情報を補うために視覚が優位に働くと考えられ、それによって頭を前に突き出してしまう後頭下筋群(首の後ろにある筋肉)が緊張し、ストレートネックや猫背、巻き肩などの姿勢になってしまいます。
②扁平足になる
クロックスなどのクッション性のある柔らかいソールでは、本来備わっている足部の機能が使えないので、足自体が衰えていきます。
足は、踵を着く時に衝撃を吸収する“柔らかい足”と推進力を得るための“硬い足”の両方の機能を持っています。
クッション性のある柔らかいソールでは、足自体が衝撃を吸収する必要がないので、足の衝撃吸収の機能が低下してしまいます。本来、ショックを吸収するためには、踵の少し外側から地面に接し、体重が乗りながら内側に転がることで、足部の関節が緩み衝撃を吸収する柔らかい足になりますが、この動きはかなり精密です。クッション性のある柔らかいソールでは、地面の感覚を正確に捉えることができないので、足部の機能は低下していきます。
次に推進力を得るために“硬い足”となり、地面を押し出しますが、クッション性のある柔らかいソールでは、地面を押す感覚が伝わらず、押しても力がソールに吸収されてしまい推進力が低下してしまいます。本来、親指と人差し指の間で蹴り出しを行いますが、クッション性のある柔らかいソールでは正確にできません。そのため、足を硬めたり蹴り出しに必要なアーチの筋肉や足指の筋肉は低下します。
また、不安定なため不必要な筋肉を使ってしまいますので、メリハリのあるきゅっとしたふくらはぎ ではなく、締りのないだらんとしたふくらはぎになってしまいます。しっかり蹴り出しができないということはお尻の筋肉も使えませんので、足も遅くなってしまいます。
③ケガをしやすくなる
まず、姿勢が悪くなって、扁平足になっている時点で、かなりケガのリスクが高まっていると考えてください。
姿勢が崩れた状態で、サッカーや野球などのスポーツをしていると、オーバーユース(使いすぎ症候群)の怪我につながることが多いです。また、扁平足は膝の靭帯を損傷するリスクが高くなりますし、扁平足から来る姿勢の崩れで腰痛を発症するリスクも高くなります。
そして、足裏のセンサー機能が低下しているということは、自分の重心がどこにあるのか、どこに体重が乗っているかが分かりにくくなっています。スポーツの場面で瞬間的に方向を切り替えたり、相手の動きに反応する時に、身体の反応が遅れてしまうことで靭帯や半月板などの損傷につながりやすいです。
小学生では昔に比べて、顔面の怪我が増えているというデータがあります。転倒した時に手が出なくなっている子供が増えていると言われていますが、これは重心の移動を瞬時に感知することが遅れてしまうことも原因の一つだと考えています。階段や道路、高いところに登って遊んでいる時には、転倒といっても骨折などの重症になりかねないです。
クロックスがダメな理由を3つ書きましたが、これは子供だけでなく大人にとっても同じことが言えるので、お勧めはしません。最近、シニアの方も楽だからという理由で履いておられる方がおられますが、関節の変形や転倒につながるのでやめましょう。
それと同時に正しい姿勢や足裏の筋肉を使って鍛えるようにしましょう。鍛え方がわからない方は、ぜひ一度ご相談ください。
扁平足にならないための足部の修正方法についてこちらも参考にして下さい
YouTubeの正しい姿勢では、骨盤や胸郭、肩甲骨の位置の他にも足の修正方法を動画にて説明しています。こちらも参考にしてみて下さい。
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