「筋肉が落ちないように歩くことだけはしています。」「足腰が弱くなってきたので、歩いています。」「ダイエットのために歩いています。」という方は多いのではないでしょうか?
公園などでも歩いている方が多くみられますが、筋肉をつけようと歩いている方は、残念ながら間違いです。歩行というのは、なるべく筋肉を使わずに効率的に、長距離を移動できるメカニズムになっていますので、筋肉を鍛える、筋肉を大きくする目的では間違いになります。
ダイエットのために歩いているというのも、少し非効率になります。トレーニングとの併用と短時間の高強度な運動のインターバルトレーニングがお勧めです。だらだらと長い時間歩いてもそれほど効果は出ないでしょう。
では、なぜ歩くだけでは筋肉が付きにくいのでしょうか。
歩行は筋肉が収縮するエネルギーではなく、位置エネルギーを主に利用しているからです。位置エネルギーとは物体がある基準面から高い位置にある時、物体が持つエネルギーを指します。
嶋田智明・監訳:筋骨格系のキネシオロジー,医歯薬出版,2005
自転車で坂道を下る場面をイメージして下さい。高い位置から低い位置に移動する時には、自転車のペダルを漕がなくても、自転車はスピードを増しながら進んで行きます。そして低い位置に到達し、直後に登り坂に差しかかったとしてもある程度惰性で進みます。
歩行も基本的には同じです。歩き始めは重心が高い位置にあります。体が斜めに倒れることで動き出しますが、これは位置エネルギーを利用しています。その後、片足を前に着き両足が前後に開いた状態となり、重心が一番低い状態となります。先ほど位置エネルギーで獲得した前方へ進むエネルギーは残っているので、重心が低い状態から重心が高い片脚立ちの状態まである程度は惰性で進みます。ここまでは筋肉は体が倒れないようにブレーキとして使っています。
位置エネルギーの惰性だけでは同じ高さの重心までは進みませんので、足りない部分を筋肉の収縮でエネルギーを作ります。ここまで説明した通り、筋肉は進むために使うよりも、身体を支えるためのブレーキとして使うことがメインになるので、筋肉を大きくする目的では非効率な運動となります。
さらに、正しく歩けていない場合、膝や腰に痛みが出たり、太もも前の筋肉が張ってしまい脚が太く見えてしまいます。健康のためやダイエットのために歩いているつもりでも、間違った歩き方では逆効果になってしまいます。
正しい歩き方はYouTubeでも説明していますので、参考にして下さい。
と言っても、ウォーキングは全身の循環を良くしたり、有酸素運動としての効果も期待できますので、歩くのは20〜30分程度に抑え、スクワットなどのトレーニングやダイエットにはインターバルトレーニングの併用をお勧めします。
そして、正しく歩く。これをしっかりと意識しないと歩くメリットがなくなってしまうので注意しましょう。
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